韓国の朴槿恵(パククネ)大統領が対日批判を繰り返していることに、日本政府が反発を強めている。
政府内では、東アジア外交の立て直しに当たり、 「日韓関係を棚上げして、日中関係を優先すべきだ」(首相周辺)との声も上がり始めた。
「日本の一部の指導者は謝罪する気もなく、元(従軍)慰安婦を侮辱し続けている。(安倍首相と)会談しない方がましだ」
朴大統領は、4日の英BBC放送(電子版)のインタビューで、日本への反感をむき出しにした。
岸田外相は5日の記者会見で、大統領の慰安婦発言について「我が国の立場、考え方はこれまでも様々な形で説明してきた。大変残念だ」と不快感を示した。
大統領は9月30日にも、訪韓したヘーゲル米国防長官に、歴史や領土問題に絡めて日本を批判し、ヘーゲル氏を当惑させたばかりだ。
韓国側による反日の動きは、大統領の言動にとどまらない。
韓国の裁判所では最近、戦時中に日本に徴用された韓国人(徴用工)が被害を受けたとして、
日本企業に損害賠償を命じる判決が相次いだ。徴用工問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で解決済みだ。
韓国政府は9月9日から、東京電力福島第一原子力発電所の汚染水問題を理由に、
明確な科学的根拠なしに日本産水産物の輸入禁止を続けている。
日本は今のところ、 「大局的な観点から日韓関係を構築すべく努力したい。問題があるからこそ首脳会談を行うべきだ」(加藤勝信官房副長官)との姿勢は崩していない。
しかし、岸田外相が9月26日、米ニューヨークで韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外交相と会談し、
日本が韓国の主張を受け入れない考えを強調すると、韓国は外相会談にも応じなくなったという。
政府内には「韓国の主張は感情論に過ぎず、冷静な議論は当分望めない」(首相周辺)との無力感も漂っている。
出口の見えない日韓関係に代わり、ここにきて日中関係改善を先行させる考えが浮上してきた。
(2013年11月6日07時50分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20131106-OYT1T00198.htm?from=main1
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