県がいなべ市で保護したツキノワグマを隣接する滋賀県多賀町に無断で放した問題で、自然保護団体「日本熊森協会」(兵庫県西宮市)のメンバーが四日、県庁を訪れ、クマを捕殺するとの県の方針にあらためて抗議した。ツキノワグマは多賀町で八十代の女性を襲ったクマとは別の可能性が高いとして、「追跡する法的根拠はない」と批判した。
室谷悠子副会長は、女性が襲われた翌日の先月二十八日、ツキノワグマが多賀町から約二十キロ離れた岐阜県海津市で確認されたことから「一日数キロしか移動しないため、あり得ない。研究者も距離から考えて別個体だと言っている」と指摘した。
県獣害対策課の宇田孝彦課長も「同じクマの可能性は非常に低いと思っている」としながら、「現実に不安を感じている住民の声に応じる必要がある」と説明した。
三重県と滋賀県は近く、女性が襲われた現場に落ちていた動物の毛と、ツキノワグマの血液をDNA鑑定にかける。ただ「動物の毛がクマのものかはっきりせず、照合は難しい」とも語った。
森山まり子会長は、クマには住み慣れた場所に戻る習性があるとして「落ち着いた場所に行くのを見届けてほしい。追いかけ回せば逆に人身事故の原因となる」と要望。「正確な情報を伝えれば、住民も理解してくれる」と語った。
ツキノワグマは現在、いなべ市の山中で確認されている。県は六、七両日に捕殺する方針で、五日に関係自治体と協議し、最終判断する。宇田課長は「いろんな意見を勘案して判断するので、中止もあり得る。ただ、現時点で捕殺の方針に変わりはないので、準備は進める」と話した。
協会は三日、捕殺中止を求める要請文を三重、岐阜、滋賀の三県知事に送付していた。
(添田隆典)
http://www.chunichi.co.jp/article/mie/20150605/CK2015060502000021.html
編集部 (2015年6月 5日 18:57)
いなべ市で捕獲されたツキノワグマを三重県が情報提供をせずに隣接する滋賀県多賀町の山中に放した問題で、伊賀市の岡本栄市長は6月5日、捕殺方針の県に対して助命を求めた。放獣から10日後、同一のツキノワグマかは判明していないが、同町内の女性(88)が熊に襲われ重傷を負う被害に遭っている。
岡本市長が県農林水産部に電話で抗議したのは、5日の6月定例会終了後。県では野生のツキノワグマが近い将来絶滅する可能性が高い種とし、「絶滅危惧1B類(EN)」に分類しており、市長は「自分たちの誤りで起きた問題を熊に責任を押し付けるのはおかしい。本来は保護する立場なのに、軽々に殺処分するとは許しがたい」と憤った。
県獣害対策課は5日、県といなべ市、岐阜県、海津市、大垣市、養老町の6自治体による会議で銃による捕殺を行うことで確認し、7日朝に実施すると発表。同課は取材に対し「地元住民の大きな不安を早期に取り除くため、捕殺は止むを得ないという判断になった」と話した。
http://www.iga-younet.co.jp/news1/2015/06/post-981.html
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